ウクライナでの潜入任務に参加した“ゴースト”と呼ばれる特殊戦略部隊所属のコールサイン＜ノマド＞（アンソニー・ペリーマン少佐）は、ロシア特殊部隊の不意打ちに遭うものの辛くも窮地を脱するが、任務の目的は果たせなかったうえ部隊のメンバー4名のうち2名が撃たれ、中でも指揮官のセージは瀕死の重傷を負ってしまう。
帰国したノマドは失敗に終わった作戦の事情聴取が終わるやいなや次の任務を命じられる。南西ベネズエイラで、コロンビアとの紛争地域に自治州を築こうとしているアマゾナス革命軍を名乗るグループにより、現地で調査活動に当たっていたアメリカ人生物学者チームと考古学者チームが拉致されており、事態が表面化して国際問題になる前に人質を救出するようアメリカ政府が要請してきたという。
しかし、セージが欠けたことからノマドが急遽指揮官として部隊を率いることになるうえ、ミダス（ルビオ・デルガド）とホルト（ドミニク・モレッタ）という面識の無い新メンバーを統率しなければならないという難題に直面することになる…。
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もともとはトム・クランシーが起業して自身の作品をゲーム化していたレッド・ストーム・エンターテインメントが、その後ユービーアイソフトに買収され、クランシーの死後も、クランシー原作・監修ではないものの“トム・クランシー”の名を冠したゲームをリリースし続けており、そのシリーズのひとつである＜ゴーストリコン シリーズ＞のメディアミックス展開として、シリーズ中の1作『ゴーストリコン ワイルドランズ』の前日譚として書かれたのが本作…というなかなか込み入った（？）背景のある軍事アクション小説です。
作者のリチャード・ダンスキーはユービーアイソフトのゲームデザイナーのようですが、本業がゲームデザイナーとは思えない手慣れたというか手堅い筆致でサクサクと読めるアクション小説に仕上がっています。
むしろと言うか、作品の世界観やキャラクターについて知悉している強みだけでなく、メディアの違いはあれどエンターテイメントにおける物語の構築という点では通ずるのか、話の盛り上げ方が上手いし、良い意味でB級アクション映画やラノベに通じるテンポの良さ、キャラクターの立て方の巧さで、正直あまり期待はしていなかったのだですが思いのほか楽しく読めました。
一方で、指揮官としては経験不足なノマドが他メンバーの信頼を勝ち得てリーダーシップを発揮出来るようになる成長譚としては描き込み不足だし、メンバー、特に厄介者ポジションのホルトがノマドを信頼するようになる過程の説得力が薄く、人間ドラマ面では物足りなさがありました。
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