ロンドンのロチェスター・クローフォード銀行役員のジェレミー・カーターが、息子のスティーヴンが出場するラグビー試合の観戦のため、チャーリーと共にベッドフォード・パークの自宅から社用車でスタジアムに向かう途中で武装集団による待ち伏せ攻撃を受ける。
実はMI6の現場要員でもあったカーターは襲撃の気配を察知すると即座にスティーヴンを脱出させることには成功するが、襲撃者の手際の前に運転手は射殺され自身は囚われの身となってしまう。
即座に警察による捜査が始まるが、カーターの安否どころかスティーヴンの消息も不明なため、カーターの上司のラルフ・マグワイアは、カーターの親友であり、元フランス外国人部隊員として参加したアフリカでの作戦で少年兵を殺してしまった罪の意識から一線を退いて隠遁生活を送っている“イングリッシュマン”ことダン・ラグランを呼び寄せることにする…。
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ヤングアダルト小説の書き手で、＜フロスト警部シリーズ＞のTVドラマの脚本家として参加しているという経歴の持ち主だけあって、ラグランのタフでありながらも人間味に溢れウィットに富むという、英国冒険小説の主人公らしさを始めとして、サブキャラ含めて登場人物の造形やキャラ配置は悪くないですし、カーター捜索〜ロシア潜入というストーリィ運びの中でのシチュエーションごとの描写もこなれていて、決してつまらないわけではないのですが、このプロットでラグランが復讐に燃えロシアの刑務所に潜入するパートが後半1/3からという構成は、タイトル詐欺とまでは言わないけどいかがなものかと。
潜入物というシチュエーションを選んだ以上、正体が露見する危機とか、刑務所という行動が著しく制限される環境下でどのように困難な任務を成功させるのか？ と言った緊迫感をメインにハラハラ・ドキドキを味わわせて欲しかったところ、潜入パートがあっさりと進んでしまう物足りなさの方が先に立ってしまいました。
あと、やむを得ない状況とはいえ任務で犯してしまった過ちへの罪悪感に悩まされる系主人公の再生物語としての側面があるのかと思いきや、そこは華麗にスルーされてしまっていたのもマイナスポイントでした。
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