シークレットサーヴィス所属のM・E・フレイリックは、次期副大統領に選出されたブルック・アームストロングの警護チームの責任者に任じられるが、とある警備上の懸念から、自分たちの警護体制に穴が無いか外部監査を受けることを上司のスタイヴェサントに進言し認められる。
フレイリックはかつての恋人で、ジャック・リーチャーの兄ジョーが外部の人間を雇って抜き打ちで標的を狙わせることが有効で、適任の人物として弟の名前を挙げていたことからリーチャーの行方を捜し当てて接触する。
話を聞いたリーチャーはフレイリックの態度から、シークレットサーヴィスのような組織が外部の人間を雇うなどといった異例の結論に到った理由にはより深刻な事情があると踏んだが、フレイリックが頑なに明かそうと明かそうとしないため、その差し迫った様子から依頼を引き受けることにする…。
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刊行順としては『宿敵』の前作にあたる＜ジャック・リーチャー シリーズ＞第6作です。
昨年刊行の『消えた戦友』で登場した、憲兵時代の戦友であるフランシス・ニーグリーが活躍するエピソードを固めてくれたと類推しますが、どうせ新旧行き来して訳出（これ自体はありがたい）するんだったら登場順で出して欲しかったところです。
と言う小説のデキに関わらない枝葉はさておき、作中でも言及される『ジャッカルの日』を始めとする要人暗殺ものとしての緊迫感、リーダビリティはなかなかですし、兄ジョーの恋人だったフレイリックに頼まれ、次期副大統領の暗殺実行可能性を評価役を任されたリーチャーが、実際に暗殺を謀る犯人と対峙することになる流れが、他のエピソードに多く見られる、時に単なる正義感やプライドを越えた強迫観念にも見えてしまう不自然さが無く、より説得力のある動機づけだったのも好印象でした。
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