マサチューセッツ州のとある大学の前で、下校しようとしたリチャード・ベックという学生が武装した集団に拉致されそうになっている現場に出くわしたリーチャーは、咄嗟の判断で誘拐犯からその学生を救い出すが、現場を立ち去ろうとする際、駆けつけた刑事を誘拐犯の一味と誤認して射殺してしまう。
警官殺しに対する警察の態度を考慮し、リーチャーはリチャードを適当な場所で下ろして姿をくらませると告げるが、過去に誘拐された経験を持つリチャードはすっかり怯えきって家まで送って欲しいと懇願してきたため、やむなくメイン州ポートランドのリチャードの自宅まで送り届けるが、実はこの誘拐は狂言で、麻薬の密輸に手を染めている疑いのあるリチャードの父親ザカリーを追うDEAと、ザカリーのリムジンに乗り込むところを偶然見かけた仇敵のクインという男をなんとしても探し出したいリーチャーの利害が一致したことから立案された潜入捜査作戦だった…。
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＜ジャック・リーチャー シリーズ＞第7作です。
冒頭のリーチャーのらしくない立ち居振る舞いに違和感を覚えましたが、それもそのはず誘拐が狂言であることが明かされて違和感が氷解された後は、潜入捜査というシチュエイション自体のスリリングさ、ザカリーの犯罪の真相に迫る過程と、リーチャーがクインに男に執着する理由がカットバックで明かされていく構成の妙、そしてクインとの因縁の理由がかつて愛した部下だったという、リーチャーにしては珍しくロマンス要素濃いめと見所満載で、邦訳が後回しにされてきたのが不思議なくらい（まぁ、このシリーズはもともと邦訳順はデタラメですが）の、シリーズ屈指の面白さとなっています。
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