恒星間航行が可能になり、宇宙で徐々に文明圏を拡大していった人類は、姿形は人類と似ているが肌の色が金色の、人類が“異人”（ニューメン）と呼称する異星人の攻撃を受ける。
異人の攻撃は容赦がなく、彼らと遭遇した人類で生き延びた者はおらず、人類側からの呼びかけにも一切応えないため、征服された星系がどういう運命を辿ったのかはもとより、異人のことについて知る術が人類にはほとんど無かった。
異人接触前から人類文明圏の航路パトロールや開拓惑星の保護を目的に設立された宇宙監視軍の情報将校マドックス大尉は、メアリー・オハラ准将から呼び出されると、軍本部での緊急会議への同行を求められ、その会議の場で圏外領域に秘密裏に派遣された大規模艦隊が待ち伏せ攻撃を受け、数の上では優勢だったにも関わらず圧倒的なテクノロジー差の前に壊滅した、という衝撃的な事実を知らされる。
マドックスは、そんな劣勢を回避する窮余の一策として、圏外領域の恒星系で太古に繰り広げられた異星種族間戦争で用いられその後遺棄された、人類より遙に進歩した兵器を備えた哨戒船を探し出すという任務を与えられる…。
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SF界ではすっかり主流になった、自主出版から注目を浴びて商業出版されるルートで邦訳されたミリタリィSFの新作です。
これまたホーンブロワーフォロワー系宇宙海軍士官ものかと思いきや、どちらかと言うとスパイアクションものだったことに前半は少々戸惑ってしまいましたが、達成困難なミッションに挑むにあたり、出自の異なる、しかも一癖も二癖もあるエキスパート達を集めて挑む、という冒険小説的枠組みを採用しているのが、意外なことにミリタリィSFとしては珍しいので新鮮味がありました。
マドックスの唯我独尊的な態度が少々鼻に付くし、人類を下等動物と見做す“異人”のメンタルや、哨戒船の指令AIの思考形態が、本人達が言うほど高等な知性には見えない点。古代異星人の超テクノロジーを人類が何の違和感なく操作したりコンピューターのハッキングに成功してしまう安易さにSF的想像力・筆力の限界を感じるし、実はマドックスは異人の血が混じっているのでは？ という出自に対する疑念や異人の侵攻速度が遅い理由等、物語の根幹に関わる謎が次巻以降に持ち越しなのが肩透かしですが、それなりには楽しめました。
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