地球連合の本拠惑星であるヘイヴンをファージによって破壊された人類の前に突如現れてファージを撃退したのは、400年前に地球を出発したものの行方不明となった探査船＜カール・セーガン＞の指揮官ロバート・ブレイクに率いられた戦隊だった。
ブレイク達は、遭難して漂流していたところを異星人ヴルアーンに救助され、死亡状態から蘇生された上で、彼らからファージ艦を一撃で破壊出来る強力な戦艦を与えられ、争い事を好まないヴルアーンに成り代わってファージとの戦闘を代行していたのだった。
中央司令部作戦部長のジョーセフ・マーカム元帥は、一時的に地球連合所属の全ての艦を第7艦隊──＜暗黒の艦隊＞──の指揮下に置き、ブレイクの戦隊と共に反攻作戦に打って出る指令を出す。
ブレイクによると、自分たち以外の生命体を根絶やしにすることのみを目的として生息するファージに対して意思疎通を図ることは出来ないため、ファージの脅威を排除するにはファージを絶滅するしかなく、その唯一の方法は集団意識のコアを破壊することだが、ヴルアーンは彼らなりの倫理観から、これまでそれを許さなかったと言う…。
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3部作完結編です。
前作ラストでファージに対抗出来る強力な科学技術を有する異星人ヴルアーンが登場。彼らなりの倫理観？ 価値観？ から、400年前に深宇宙の探査に出発したものの遭難した地球軍人を救助し、強力な軍艦を与えて対ファージ戦を委託していたヴルアーンの助力を得て反転攻勢に出るクライマックスは、ヴルアーンの真意が読めないミステリアスさも相まって手に汗握る、3部作の掉尾を飾るに相応しい盛り上がりです。
「ファージとはなんだったのか？」もちゃんと明かされるし、戦争のケリも着くので、投げっぱなしジャーマン設定が多かった＜彷徨える艦隊シリーズ＞よりはモヤモヤすることなく読了することが出来ます。
結果的に、これほどの発展した文明を持ちながらヴルアーンの思考回路が人間的過ぎるのが興ざめだったものの、ヴルアーンに救われたブレイク大佐の秘密など、この手の宇宙艦隊士官ものとしてはSF的ギミック面での醍醐味が味わえたのも○。
それだけに、本来なら最高の見せ場で胸熱シーンになるはずの、最終決戦におけるウルフの独断専行に対して艦内のクルー全員が忠誠心を示す場面が、シリーズ、特に序盤で「掃きだめ艦隊」らしさが描ききれていなかったり、クルー側の心情が描かれていなかったため、この手のシチュが大好物の管理人がエモさを感じられなかったのが、なんとももったいないシリーズでした。
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