オレゴン州ポートランドのATMで現金を下ろしたリーチャーは、口座の残高が予想より千ドル多いことに気付いたため取引明細書を確認すると、3日前に1,030ドル振り込まれていることが分かる。
銀行に問い合わせ、個人情報を漏らすことを渋る行員を口説き落として振込主のヒントを得たリーチャーは、振込額が応援要請を示す無線コード10-30を示すこと、振り込んだのが憲兵時代に率いていた特別捜査部隊の一員だったフランシス・L・ニーグリーであること、有能なニーグリーがこのような連絡を寄こすからにはよほどの事態が起きているとを確信し、ニーグリーが勤める民間警備会社に連絡を取ると、応対したアシスタントから彼女はロサンジェルスに移動中と聞かされる。
リーチャーは早速ロスに向かいニーグリーと合流すると、彼女からやはり部隊のメンバーだったカルヴィン・フランツが、何者かに拷問されたうえヘリから突き落とされて死んでいたことを聞かされる…。
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＜ジャック・リーチャー シリーズ＞の原著刊行順としては『奪還』の次作となる第11作です。
憲兵時代に自らが力量を買って集め、信頼と友情を築いた仲間が惨殺されたことを知らされたリーチャーが、さらに他にも戦友達が音信不通となっていると聞かされる不穏な導入から、次々に仲間たちが同じような運命を辿ってることが明らかになっていくスリリングな序盤。合流した生き残ったメンバーと共に真相に迫りながら友人達の仇を取っていく課程がテンポ良く描かれていて、一匹狼のリーチャーが珍しく単身ではなく、かつての仲間とチームワークを発揮して難敵に立ち向かう趣向や、仲間たちの親密なやり取りの新鮮さも手伝って抜群のリーダビリティを保っています。
一方、敵の実態が明かされてみると、盛りは過ぎたとは言えリーチャーが信を置くほどの強者達を負かすほどの難敵だったか？ というと、それほどのポテンシャルがある組織には見えず、竜頭蛇尾感が残ったのが残念ポイントでした。
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