信頼していた友人と婚約者に裏切られ、事業を奪われた主人公のダン・デイヴィスは、失意の内に自らの“夏への扉”を求めて、コールドスリープで未来に逃避しようとするが、スリープ直前に思い直し、裏切った二人に立ち向かおうとした。しかし逆に薬を打たれ、正体を失っている間に無理やりコールドスリープに着かされてしまう。
自分の発案したロボットが一般化した西暦2000年の未来で、スリープする前に自分の財産を譲った姪の消息を求めているうちにデイヴィスは奇妙な事実を発見する…。
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解説不要とも言えるSF小説の古典です。
タイムトラベルを利用して自分の運命を変える、というプロットは、今でこそ斬新でも何でもないですが、緻密な構成と、猫のピートを含めた登場人物の魅力で、作品自体の古さを感じさせない完成度の高い小説になっています。また、話の面白さもさることながら、作中に出てくる未来世界のディティールの確かさにビックリ。
さすがにロボットは一般化していないけど、ボタンを押すだけで線を引き、部品の組み合わせで製図が出来る機械はまんまCADだし。紙の端を指で触れてペイジをめくる新聞なんぞは、言うまでもなくディジタルコンテンツのページ送りなんかで良く使われているインタラクションだし（逆に「ビル・アトキンスンはこういうのをハイパーカードのインターフェイスのアイディアに盛り込んだのかしらん？」とか勘ぐってみたりして、楽しみは尽きない）。ハインラインの洞察力に脱帽です。SFが守備範囲でない人にも勧められる逸品だと思います。
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