遺産相続人捜索を専門に手がける＜マーチャント探偵社＞を共同で運営するニコラス（ニック）・マーチャントとアレックス・モレノは、デカいヤマを掘り当てるため、自らに課した規範を破って地区検事に袖の下を渡し、公表前の遺言検認案件の下見を行う。その中にあったジェラルド・ジェイコブズの遺産額は、何と2,000万ドルを越えるべらぼうなものだった。2人は早速捜索を開始するが、袖の下を渡した地区検事は、大手の探偵事務所＜ジェネラル調査＞にも同じ情報を売りつけていたため、熾烈な競争が起こることが予想された。しかも、ジェイコブズはFBIの保護下にあったらしく、ジェイコブズのことを探られたくないFBIはニック達に調査を中止するよう圧力をかけてきた…。
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自身、遺産相続人の調査員だった著者の小説デビュウ作です。
「遺産相続人を捜す」というストーリィ自体はさほど目新しいものではありませんが、それを専門にしてる事務所があるとは…、あちらには面白い商売があるものです。
プロットは基本的にはオーソドックスで、典型的な“巻き込まれ型冒険物”ですが、最近のこの手のジャンルの小説としては主人公の動機付けが自然で、押しつけがましくないのが好感を持てるし、ニックとアレックスのつかず離れずの関係も面白い。プロットに首尾一貫さが欠ける点はあるものの、何より陰謀物としてそれなりに盛り上げつつも、読後の後味が悪くならないバランス感覚は、新人としては見事なさじ加減だと思います。
パトリック＆アンジーのような新世代探偵の名コンビとなれるか？ 今後が楽しみな作家の登場です。
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