元警察官で今はガンショップ経営で生計を立てる一方で、時折親友の私立探偵エルヴィス・コールの護衛役を務めていたジョー・パイクは、以前コールと手がけた誘拐事件の解決に当たって借りを作ることになった傭兵斡旋業者のジョン・ストーンからの連絡により、警察官時代に指導的立場にあった先輩で、今は企業調査会社を経営しているバッド・フリンの顧客の娘ラーキン・バークリーのボディーガードを任されることになる。
ラーキンが愛車のアストンマーティンで深夜のハリウッドの街を暴走して起こした追突事故の相手が、不動産開発業者の夫妻と、不動産投資を通じて資金洗浄を目論んでいた麻薬カルテルのメンバー、アレグザンダー・リーマン・ミーシュだったことが判明したことから、連邦捜査当局はミーシュを追い詰めるための証人としてラーキンを証人保護プログラム下に置いたのだが、どこからか情報が漏れており、ラーキンをセーフハウスに匿った途端襲撃に遭ったため、フリンは連邦当局と繋がりのないストーンを頼った結果、パイクに白羽の矢が立ったのだった。
ストーンへの借りを返すため依頼を受けたパイクはフリンが用意した隠れ家にラーキンを連れて行くが、そこでも襲撃者に襲われたため、パイクは殺し屋を撃退するとコールに連絡を取る…。
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＜エルヴィス・コール シリーズ＞で、コールの背中を守る頼りになる相棒として登場する、寡黙でありながら強烈な存在感を放ってはいたものの、内面までは掘り下げられることが無かったジョー・パイクにスポットを当てたスピンオフです。
『容疑者』の著作リストで刊行されているのを知り、アマゾンで古本を探し出して購入。
お話しそのものは、裕福だが精神的には孤独なラーキンと孤高を貫くパイクが、危機を乗り越えていく中で徐々に心を通わせていくという、オーソドックスなボディガードものの枠組みを用いながらも、パイクが警察を離れることになった過去が明かされるという、シリーズを追っている読者であればこその興味深さ、その中で思わぬ人間臭さを見せるパイク、今回はサポート役ながら相変わらずの軽口を披露してくれるコール等々読みどころは多く、冒頭から緊迫感を維持しつつダレさせず最後の謎解きまで読ませるストーリィ展開でもクレイスの腕前が味わえるスピンオフに仕上がっていると思います。
それにしても＜エルヴィス・コール シリーズ＞の邦訳がストップしている状況は…（以下略）
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