1952年、ソヴィエトがドイツに鉄のカーテンを引き、東西冷戦構造が明確になりつつある中、スターリンは水爆の開発を急いでいた。そのスターリンが精神的に不安定であり、いつ水爆を用いるか分からないことを察知したCAIは、スターリンの暗殺計画を決意し、ジェイク・マッシーに計画を指揮させる。マッシーは、“狼”と呼ばれソヴィエト側にも恐れられている暗殺者アレックス・スランスキーと、自らがソヴィエトからの亡命を援助した女性アンナ・ホレーワに、夫婦という偽装を与えモスクワに送り込むが、その動きは速い段階からKGBに察知されていた…。
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『ブラック クロス』に続き歴史秘話系の物語です。
スターリンを暗殺すべく潜入するスランスキーとホレーワの姿が緊張感たっぷりに描かれていて、一気に読める面白さとなっていますが、いよいよ作戦が開始される上巻の真ん中あたりまでの前フリが少々まどろっこしいのと、『ブラック クロス』もそうでしたが、設定の意外さほどキャラクターが立っていないのがマイナスポイントです。それと、キィパースンがあいまいなままストーリィが展開してしまい、途中まで「ん、結局主人公は誰なん？」という思いが残ってしまうので、この辺がクリアにならない限り「フォーサイスを凌ぐ」とまではいかない気がします。
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