米陸軍の特殊工作員ブレンダン・ブキャナンは、与えられた人格になりきれる才能を活かし、麻薬ディーラーに接触する任務を帯びメキシコに潜入していた。首尾よくディーラーと接触したブキャナンだったが、以前の任務のときに知り合った民間人と偶然出くわしてしまったためピンチに陥る。危機はなんとか脱したブキャナンだが、頭に大怪我を追った上、帰国したブキャナンを待っていたのは、仲間による監視と、かつてのパートナー、フアナからの謎めいたハガキだった…。
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＜ランボー シリーズ＞の原作者として有名なマレルの冒険小説です。
偏執狂的とも思える謀略に満ち満ちた世界で運命に翻弄される男女、というラドラムに通ずるプロットはマレルの作品の持ち味の一つですが、今回の物語の主眼は、他人を演じることでアイデンティティを保ってきた主人公ブキャナンが、その装いを捨て、自らを見つめることで本当の自分を発見する旅となることにあります。しかし、その魅力的なストーリィも、後半主人公のブキャナンのパートナーとして行動する、ジャーナリストのホリーの性格付けが曖昧だったり、謎めいたかつてのブキャナンのパートナー、フアナの描写がおざなりなまま終わってしまったりと、少々消化不良な部分が多いです。また、“マヤ文明の遺跡に隠されたお宝”という設定も、あまり必然性が感じられず、舞台を活かしきれていない感じが残ってしまいました。
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